07.03
Wed
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before → after

リトアニアの紡ぎ車の記事に続いて、ドイツ🇩🇪メーリンゲンの
アンティーク紡ぎ車の修理工程をまとめてみました。

川崎市にあるKatsuji Forest Gallery☞さん を訪れたのは2019年2月27日です。
約4ヶ月を経て、2台の紡ぎ車が見違えるように美しく蘇りました。

Copyright All Rights Reserved 2019©️Katsuji Shibahara (画像の著作権です)

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今回の修理の中で、最も目立つ外観の変化は、
中央に高くそびえる尖塔のようなポールの擬宝珠(ギボシ)を再現したことです。

中央のポール先端は、国際郵便で送られてくる際に折れたのか、
それ以前に折れていたものかは不明です。(画像左上)

折れた状態では見苦しいので、到着時に思い切ってすぐに先端を切り落とし、
ペーパーのヤスリをかけてからミツロウクリームを塗っておきました(画像左中)

まるで坊主頭のようで、この紡ぎ車の雰囲気に合っていませんでした。

中央の一番高いポールの擬宝珠は、オリジナルでは、フライヤーの手前の2本と同じ形をしていました。
今回の修復では、フライヤー後方のテンション調節の役割をしているポールと同じ形にし、
3本の形が揃うようにしました。

また欠けて無くなっていた先端の象牙(または牛骨)は、
フライヤー手前の折れた擬宝珠の先についていた装飾的なものを
こちらに転用しました。

新しい擬宝珠の素材はナラ材です。
塗装は、左右のものと合わせて濃くしましたが、ややマットな雰囲気です。

3本が並んだ姿は、まるでヨーロッパの古い教会の尖塔のようです。

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次は、フライヤー手前のポールの擬宝珠の再現です。

手前側のポール2本は、フライヤーを受ける役割をしています。
その先端の擬宝珠のうち右側の擬宝珠が途中で折れて無くなっていました。

短く折れたまま装飾的な象牙(または牛骨)が
先端に付けられている状態でした。

今回、左側と同じ形の擬宝珠をタモ材で作り、
先端に象牙の玉をつけました。

左右が元どおりに対称になって揃い、
紡ぎ車もほっと一安心しているように感じます。

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この紡ぎ車は、ポールの先端はパネル周囲、など
要所要所に象牙(または牛骨)の小さな玉がつけられています。

直径5ミリに満たない小さな玉ですが、とても愛らしく、効果的です。

いくつか欠けて無くなっていた部分と、擬宝珠先端に、
新しく象牙の端材の玉を作ってつけました。

欠けていた部分がすべて揃いました。

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ホウィールの整備です。
接合部分が緩んでガタガタになっていました。

調整と接合をきっちりし直しました。

金属釘は一本も使っておらず、すべて木釘です。
木釘は頭が2〜3ミリ飛び出した状態です。

すべての木ネジの頭が出ていることから、
緩んだ時に適宜打ち込むためのものという意図をくんで、
頭はこのまま出しておくこととしました。

(味わいがあります・・・)

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メーリンゲンの紡ぎ車の修理を依頼するきっかけは、
フライヤーの糸掛フックが錆びてそのほどんどが折れてしまったからです。

フライヤーのサイズが小さいために代替品が見つからず、
フライヤーそのものを作ってもらうことが一番の修理目的でした。

フライヤーの金属軸やボビン中央の金属ネジは、新たに作ることは大変です。
(金属部品加工工場へ依頼しなければなりません)

そこで木部だけを新たに作り、
金属部分はすべてオリジナル品のものを転用しました。

オリジナルのフライヤーアームは、華奢な作りで角が尖った形でしたが
今回は、面取りをして丸みのある形になりました。

アームの中央に丸い玉のような部分があるのがこのフライヤーの特徴だったので
そのデザインはそのまま使いました。

素材はメープル材です。

丸みのある愛らしい形になりました。

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↑これは蛇足ですが、この紡ぎ車が届いた直後に私(筆者)がしたことです。
完動品ということで購入したのですが、ボビンが全く回転しませんでした。

ボビンの軸からボビンの輪(?)が浮いていて
フライヤーに当たっているためと、
ボビンの空洞部分が何らかの理由で細くなっていて、軸が回らなくなっているようでした。

駄目で元々という気持ちで荒療治しました。
おかげで、なんとかボビンが回転するようになり、糸紡ぎには支障ない状態になりました。

この後2年ほど使ううちに右上のフライヤーの糸掛フックがすべて折れてしまいました。

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今回の修理では、上記の荒療治した際の接着剤もすべて剥がし、
改めて、ボビンを修理しました。

ため息がもれそうなほど美しく変身したフライヤーです。

このほか、足踏みペダルのガタつきの固定と全体の調整をした後、
ご好意で再塗装もしていただきました。

ありがとうございました。


次は、2台の紡ぎ車の変身before after の記事へと続きます。




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